インタビュー一覧

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著者インタビュー


『奇跡の美容室 カリスマ美容師は最高の経営者となった』

鈴木勝裕 氏

新刊紹介

赤字経営をいかに脱するか--。
中小企業経営者を悩ませる頭の痛い問題だ。
経営に苦しむ中小企業経営者へ向けて、著者・鈴木勝裕は「経営革新計画」の申請を提案する。
「経営」を「革新」する「計画」。これを策定・申請後、承認を得ることで誰もが国からの融資を受けることができる画期的な法律である。負債額は問わない。
かつてカリスマ美容師と呼ばれた鈴木氏が、カリスマ美容師ブームの終焉を期に迫られることとなった経営再生。そんな中、出会った中小企業支援法。
「経営革新計画」とは一体何なのか。いかに利用し、何がもたらされるのか。その方法、注目すべきポイントはどこか。
窮地の美容室を救った「経営革新計画」のすべてを記した一冊・「奇跡の美容室」について、本書に託した鈴木氏の「想い」を取材した。


利用率わずか0.85%の現実。

国が貴方の企業の経営再生に手を差し伸べていることに気づいてほしい。

まずはこの本をお書きになろうと決めたきっかけから教えてください。

鈴木氏(以下、鈴木) ヨーロッパの財政不安と円高に追い討ちをかけるように3.11の大震災が発生しました。
「もう駄目だ」と肩を落とした中小企業経営者はさぞ多かったろうと思います。
そんな経営者の皆さんに是非、私の美容室を苦境から立ち上がらせてくれた「経営革新法」を知ってほしいと思いました。この一冊が、経営に苦しむ誰かの自殺を思いとどまらせればいい。それぐらいの気持ちで執筆に臨みました。

今お話にもありました、本書の中核となっている「経営革新法」について簡単に教えてください。

鈴木 一言でいうと、事業計画を立て、その実現可能性を国に認めてもらい、支援してもらうという法律です。今の経営を「革新」する新商品の開発・新事業などを考え、それを「経営革新計画」に落とし込む。その申請を都道府県に提出し、認可が下りれば国からさまざまな支援を受けることができます。でも、中小企業の0.85%しかこの制度を利用していないんですよ。

なぜそのような便利で有用な法律が広く一般に知られていないのだと考えますか。

鈴木 広報が足りないというのはどうしてもあるのではないでしょうか。中小企業庁のホームページには法律の詳細と利用法が細かく書かれていますが、そもそもその法律自体、そして中小企業庁の存在自体を知らなければそのページにたどり着くのは容易なことではありません。
もうひとつは、「難しそう、大変そう」という先入観でしょうね。そこまでやって成果は出るの、って。実際私もこの「経営革新計画」の作成をはじめてから正式に承認を得るまで8ヶ月も掛かり、その間担当者の赤入れが何十回と戻ってきましたから。でも難しいことではないんですよ。きちんと向き合えば、必ず到達できる簡単なことです。


あきらめないで、今すぐ「経営革新計画」の作成に着手してほしい。

「経営革新計画」の作成にあたってのポイントはありますか。

鈴木 重要なのは「経営」を「革新」させること。つまり新しい商品で勝負するのか、新しい事業を立ち上げるのかをはっきりさせること。そして「1人あたりの付加価値額」をいかに上げるかということです。そして数字。数字はきっちりと見ていかなければなりません。

実際に効果は上がるのでしょうか。

鈴木 中小企業庁やコンサルティング会社が追跡調査を行なっていますが、多くの企業が効果を実感しています。詳細なレポートについては本書内、あるいは中小企業庁のホームページで一度是非確認してみてください。

経営革新を進めていく中で最も思い出深かったことは何ですか。

鈴木 忘れられないのはペットホテルの一件でしょうね。本格的に新事業を始める前に必ず設けるリスク出しの期間には、実に思いもかけないハプニングがたくさん起こりました。中でも、ペットホテルのリスク出しを行なったときは特に大変でした。なんとお預かりしていた犬が脱走してしまうという事件が起こってしまったんです。社員総出で町中を走り回りました。大量のチラシをまいて、逃走経路をマッピングして、と大騒ぎ。何とか無事保護することができたので事なきを得ましたが、あれは本当に顔面蒼白になった瞬間でしたね。以来、ペットホテルはリスクが高すぎるのでやらないと決めました。

社長は今後、「経営革新法」に関する勉強会を立ち上げる予定だとお伺いしました。

鈴木 日本の景気を支えているのはやっぱり中小企業だと思うんですよ。だから中小企業が元気にならないと景気はどうにもならないと思うし、だからこそ私は中小企業の経営者を応援したいと思っています。ただ、この事業計画の作成は長い時間と労力を費やす大変な作業です。そこで、勉強会を開くことで少しでも経営不振に悩む人を手助けできればと思っています。

最後に一言、全国の悩める経営者にメッセージをお願いします。

鈴木 来年3月、「平成の徳政令」と呼ばれる「中小企業金融円滑化法」が期限切れを迎えます。これは、中小企業などが金融機関への借り入れを行なった際、該当機関は可能な限り支払い方法の変更などに応じるよう定められたもので、返済猶予法などとも呼ばれている法律です。これが期限切れを迎えれば倒産件数はさらに急増するといわれています。それを見越して今後の資金繰りについて是非考えていただきたいというのが私の思いです。「経営革新計画」というのは、社長が「想い」をもち、「計画」さえ立てれば誰もが奇跡を起こせる画期的な制度です。今経営が傾いているからといって、自分には経営手腕が足りないのだと諦めないでほしいのです。やり方や進め方がわからなければ、ぜひ勉強会にも参加してください。あなたにも必ずできます。本書が経営に苦しむ誰かにとっての救いになることを心から願っています。

鈴木勝裕(すずき・かつひろ)

1963年3月1日生まれ。埼玉県入間市出身。美的感覚集団美髪堂株式会社代表取締役社長。
中央理美容専門学校、山野美容専門学校を卒業。1987年24歳で独立。
『STREET』ブランドでカリスマ美容師ブームを牽引した。
2007年、経営革新計画の承認を得た事業モデルが評価され、第2回渋沢栄一ベンチャードリーム賞にて奨励賞を受賞。
同年3月、埼玉県ベンチャー企業優良製品コンテスト入選。
埼玉県美容組合狭山支部長、埼玉県美容業生活衛生同業組合理事などを歴任。
現在は複合サロンを展開し、フランチャイズ事業に注力している。
テレビ出演、雑誌・新聞掲載多数。著書に『美容師DREAM STREET』(2000年 そしえて刊)がある。