インタビュー一覧

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著者インタビュー


『新版 やっぱり変だよ日本の営業』

宋文洲 氏

新刊紹介

12万部を売り上げ、一大ベストセラーとなった『やっぱり変だよ日本の営業』(2002年、日経BP刊)が『新版』となって帰ってきた。
「スマホ・タブレット時代の営業はいかにあるべきか」「コストを下げるプロセスの構築法とは」といった初版未収録の内容を盛り込み、新時代の営業の教科書として再登場。
かつて名門企業の社長が次々と手に取り絶賛した名著を12年ぶりに改定するに至った経緯について、著者の宋文洲氏に話を伺った。


日本の営業に未だ根強く残る「無意味」で「非効率」な「営業の常識」を 真っ向から否定し、営業の効率化を訴えた

書籍『やっぱり変だよ、日本の営業』発売から12年。改定版をつくろうと思われた経緯についてお聞かせください。

宋氏(以下、宋) 新版の制作にあたって新たに書き下ろした「まえがき」がすべてだと思っています。i-modeが最新のITツールだった12年前に比べ、2014年現在IT技術は飛躍的に進化し、その使い手である営業マンたちもスマホやタブレットといった最新機器の取り扱いには十分精通してきたように思います。ところがいざ蓋を開けてみると、その本質は12年前とまったく変わっていない。なぜ、情報共有をすべきなのか。なぜ、営業マンが必要なのか。未だ多くの人々がその本質的な問題を理解できていないがために最新のIT機器を持ち腐らせ、結局経営者にとっても営業マンにとっても不幸な結果を招いてしまっています。私はその現状に危機感を抱き、今回の新版発刊に至りました。

本書では根性論が根底にある従来の営業手法を「無意味」で「非効率」であると糾弾しています。

 本書の目的は結果論と精神論を徹底的に排除した、事実とプロセスを重視する科学的経営手法の提唱です。結果に対して怒鳴ったり褒めたりする上司が未だに存在しますが、結果を管理するマネジメントなら小学生でもできるでしょう。社員を家族のようだと言って人格や価値観を押し付ける企業があります。しかしこれらは「迷惑」な営業行為とクレームを招くだけです。そのような「無意味」で「非効率」な営業手法から日本は早く脱却すべきだと本書では訴えているのです。

日本人なら誰もが聞いたことのある「営業の常識」をことごとく否定されていますね。

 「お客様は神様ではない」ということ、「営業がやみくもに足で稼ぐ時代ではない」ということ、「売らない」重要性、「撤退する」重要性、「プロセス」に目を向ける重要性・・・・・・。
皆さんが「営業の常識」だと思いこんできたたくさんの「非常識」は、「なぜ」「何のために」と素朴に考え直してみることで問題の本質に気付くことができるのではないでしょうか。

新版ではスマホやタブレットといった最新の機器や営業プロセスを管理するというマネジメントの考え方について言及されています。

 営業がアポイントから下調べ、企業訪問から見積作成まで全プロセスに関わる必要はない、というのが私の考え方です。結果から逆算してプロセスごとに目標数値を算出し、各プロセスはそれぞれ異なる人間が担当する。アポイントや電話応対はコールセンター、下調べはアルバイト、見積もりは事務員が担当し、営業は営業に集中すればよいのです。見込みのない顧客を熱心に訪問しても時間の無駄です。

リレー方式で業務を受け渡していった方が効率的である、ということですか。

 「適した相手」に「適したタイミング」で「適した担当者」が「適した力」をもって接することが営業チャンス拡大の鍵であるはずです。営業マンが外出先からスマホで見積作成のオーダーを出し、営業が次の訪問に行っている間に事務員が見積を作成、営業マンはスマホでそのエクセルを確認し、そのまま上司に決済をとる。営業が会社に戻るまでにそれらができれば素早い顧客対応も可能ですし、営業マンが深夜まで残業をする必要もなくなります。人材の入れ替わりが激しいのであればなおさら、ひとりが分担する業務は細かく切り分けるべきでしょう。

「非効率な常識」のひとつに「業務日報」も挙げられていましたね。

 うずたかく積み上がって誰にも見向きされない業務日報の山を見たことがあります。今はそれが電子メールやクラウド上に保管されたエクセルになっただけで、結局そのデータは誰にも読まれず、貴重な現場の情報は生かされません。なぜでしょうか。ほしい情報と伝えたい情報がマッチしないからです。業務報告は文章ではなくアンケート方式にし、外出先から数分で報告できるようにすべきです。長文の報告は言い訳ばかり冗長で中身がありません。書くほうも読むほうも時間の無駄です。一方アンケート方式の報告ならデータ収集にも適しており、かつ経営者側がほしい情報を的確にフィードバックさせることができます。同時に、営業マンにとっても報告しなければならない情報が何であるかが明確なため報告漏れもなく、選択肢を選ぶだけなので作業としても簡単です。簡単であるということは続けることが容易いということです。

最後に一言、読者の皆様にメッセージをお願いします。

 皆さんが取り組んでこられたことに対して、あえて率直な言い方で否定的な意見を述べている箇所も多く、不愉快に思われる方もいるかもしれません。しかし私は本当に日本の営業の現場がもっともっと充実し、活性化していくことを心から望んでおり、それゆえに筆を執りました。本書が少しでも日本の経営者の皆さんや営業マンの皆さんのお役に立つことができれば幸いです。

宋文洲(そう・ぶんしゅう)

1985年に北海道大学大学院に国費留学。
天安門事件で帰国を断念し、札幌の会社に就職するが、すぐに倒産。
学生時代に開発した土木解析ソフトの販売を始め、92年28歳の時にソフトブレーンを創業。
経営を通して日本企業の非製造部門の非効率性を痛感した。
98年に営業など非製造部門の効率改善のためのソフト開発とコンサルティング事業を始めた。
2000年12月に東証マザーズに上場。成人後に来日した外国人では初のケースとなる。
2004年経済界大賞・青年経営者賞を受賞。
2005年6月1日には東証1部上場を果たし、業界最大手に成長。
営業改革を訴えた著書「やっぱり変だよ日本の営業」は、トヨタ自動車の張富士夫社長(当時)自身が購入し、営業系の役員を中心に配布。12万部に迫るベストセラー&ロングセラーに。
2006年、企業情報化協会より特別表彰を受ける。
2006年8月31日ソフトブレーン会長退任、経営から退く。
現在は、経営コンサルタント、経済評論家として北京と東京を行き来する。
フジテレビ「新報道2001」、BSフジ「PRIME NEWS」、TBS「がっちりマンデー」、日本テレビ「真相報道バンキシャ!」、NHK「仕事ハッケン伝」などテレビ番組多数出演。