インタビュー一覧

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著者インタビュー


『日本でいちばん「親切な会社」をつくる 牛たんねぎしの働く仲間の幸せを考える経営』

株式会社ねぎしフードサービス 代表取締役社長 根岸榮治 氏

東京・新宿を中心に35店舗を展開、アメリカ・ニューヨークへの海外進出をめざし、安定経営を続ける「牛たんねぎし」は外食産業の“奇跡”といわれる。その「牛たんねぎし」の成長の秘密に迫った書籍『日本でいちばん「親切な会社」をつくる』(根岸榮治・著)が発売された。人材不足が最重要経営課題の外食産業にあって、海外進出を目指す成長力となっているものは一体何なのか、その牛たんねぎしの経営の秘密に迫った一冊。
本書の見どころと出版の経緯について、著者である株式会社ねぎしフードサービス代表取締役社長・根岸榮治氏に話を伺った。


まずは出版に至った経緯について教えてください。

根岸榮治(以下、根岸) 「牛たん とろろ 麦めし ねぎし」の名前でご愛顧いたただいている当社・株式会社ねぎしフードサービスは、1981年の創業から34年が過ぎました。おかげさまで飲食業界の“奇跡”と評されることもありますが、現在、東京を中心に35店舗を展開し、店舗数を急拡大してきた他の飲食チェーンに比べると非常にゆっくりした成長かもしれません。しかし、こうした歩みだったからこそ、働く仲間とともに当社が成長できたと考えています。そして現在、飲食業界は大きなターニングポイントにいます。従業員の犠牲の上に低価格で提供し、急拡大していった飲食チェーンは軒並み行き詰まっています。そんな業界の状況を鑑みて、従業員が幸せにならなければ、お客様も幸せにできないという当社の経営の考え方と、これを実現する仕組みづくりを紹介することで、何かのヒントになればと考えるようになったことがきっかけです。

ねぎしフードサービスは、はじめから順調だったわけではなかったのですね。

根岸 今でこそ人を大事にする会社、安定企業といわれるようになりましたが、創業時のねぎしフードサービスは、私が「ヒットする」と感じた飲食店を、ジャンル問わず次々と開店していった他業態の企業だったのです。東京で流行りはじめの飲食ジャンルを地方で開業すると、物珍しさもあって出す店出す店、本当に大繁盛しました。競合が育つ前に開店したので、まさに先手必勝の狩猟型経営でした。
ところがある日、ある店に顔を出してみると開店時間は過ぎているのにシャッターは降りたまま。従業員も出勤してこないのです。実はこの時、その店から100mも離れていない場所の新規競合店に、社員からアルバイトまでスタッフ全員をごっそりと持っていかれたのです。当然、商品もすべて真似されていました。こんな状態では店が長続きするはずもありません。
そんな事件もあり私は狩猟型経営を捨て、同一地域で同一業態の店舗を展開する農耕型経営を目指すことを決断しました。

その同一業態の店舗の商品として、なぜ「牛たん」を選んだのでしょうか。

根岸 新たな事業を始める場合、「午前六時」の商品がいいと考えていました。ちょうど夜明けの頃、つまりあまり認知されていないが、これから徐々に伸びていく商品がいい、それが牛たんだと考えました。実は個人的に週一、二回は牛たん店に行って食べるほど大好きだったのです。牛たんは仙台ではポピュラーでしたが、分厚くほとんどが男性の酒の肴として食べられていました。これを女性客にも食べやすい定食として提供すれば、全国区の商品になると考えたのです。そして生まれたのが「牛たん とろろ 麦めし」だったのです。

本書では、外国人スタッフの採用について触れられています。日本人と同じような「おもてなし」はできますか。

根岸 外国人スタッフ、特に当社では全外国人スタッフの八割が中国人です。彼らを育成することが、ねぎしの成長の成否を握っています。そのため、日本人と外国人のアルバイトに賃金格差はありません。文化や習慣の違いから「おもてなし」を教育することは容易ではありませんが、丁寧な研修体制を敷いて、当社の経営理念と業務を理解してもらい、戦力になっています。また、慣れない日本での生活に孤独感を感じる人も多いので、外国人スタッフの懇親会を定期的に開催して、その解消に努めています。そんな当社の姿勢から「ねぎしは私たちを平等に扱ってくれる。ちゃんと教えてくれる」と喜んでくれるスタッフが多いのです。そして、同じ目標に向かって対等に働くからこそ、「よし、自分も頑張ろう」と思ってもらえるのです。

最後に一言、メッセージをお願いいたします。

根岸 ねぎしには今、夢があります。それは「お肉の定食屋」という日本の食文化をニューヨークに広めることです。ヘルシー志向のアメリカ人へ「ジャパニーズ・ヘルシー」という食文化で勝負したい、そして牛たんとともに「定食」という日本の食文化も広めたいと思います。そしてどの国であれ、どんな時代であれ、そこで働く人の幸福がいちばん大事であり、お客様に喜んでもらうことが目的であるという経営理念は世界に共通することも証明したいと思っています。

ありがとうございました。