インタビュー一覧

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著者インタビュー


『ハートで感じたら走り出せ! テレビもスマホと同様に進化する』

株式会社NTTぷらら 代表取締役社長 板東浩二 氏

新刊紹介

――2015年2月、「ひかりTV」 300万会員達成。
今でこそ誰もが知るサービスを手掛けるNTTぷららだが、そのスタートは苦難の連続だった。会社清算という危機的状況下で社長就任した板東浩二氏は、会社存続の条件であった「単月黒字」を早々に達成。その後もNTTぷららの売上を社長就任時から約100倍に成長させることに成功した。
その第一信条は、「ハートで感じたら走り出せ!」。
映像ビジネスへの参入やスマートTVシステムの確立など、直感を信じ、「はじめてのこと」に挑戦し続けた。やがてその先進的な取り組みが奏功し、事業を拡大させるとともに、やがて業界のパイオニアと称賛されるまでになった。
そんなNTTぷららの苦労と躍進のドラマが描かれた一冊『ハートで感じたら走り出せ!』が今春発行された。
本書の見どころと出版の経緯について、著者である株式会社NTTぷらら代表取締役社長・板東浩二氏に話を伺った。


まずは、出版に至った経緯について教えてください。

板東浩二社長(以下、板東)  2015年2月、「ひかりTV」はおかげさまで300万会員を達成しました。
この節目に改めてお客様はじめ関係者の皆様に感謝するとともに、ここに至るまでの苦闘と事業の変遷を振り返ることで、さらなる飛躍へとつなげたい、そんな思いで出版しました。

累計損失37億円という巨額の赤字を社長就任直後に知ったということですが、どんなお気持ちだったのでしょうか?

板東 日本電信電話公社(現NTT)に入社後ずっと技術畑を歩んできた私は、1998年にNTTぷらら(以下、当社)の前身である「ジーアールホームネット」の社長に就きましたが、設立わずか2年半余りで私が三代目の社長でした。そして、既に会社の累積赤字が約37億円にものぼっていたことを、就任後に知った時の驚きは到底、一言では言い表せません。しかも、このままだとあと3カ月で資金が底をついてしまう―― そんな状況に、私は驚きを通り越して目まいがする思いでした。

そんな状況をどうやって乗り越えたのですか?

板東 とにかく奔走して、半年まで何とか企業を延命させる資金を調達しました。
しかしさらなる困難が待ち受けていました。社長に就任してからまもなくNTTは再編という大きな節目を迎え、「赤字続きで事業継続の意義が薄い会社は畳むべし」という子会社の清算の議論が持ち上がったのです。当然、赤字経営のジーアールホームネットは、清算の対象になりました。資金の調達や立て直し策を必死で考えている矢先に、「会社清算」という大問題にぶち当たり、私は頭が真っ白になりました。
NTT本社に必死で食い下がった私に示された条件は、即時清算の対象としない代わりとして、残りわずかな資金を使い切る前に、月1億円以上も出していた赤字を「単月黒字」にすることでした。
ずっと技術畑にいた私にとって本当に厳しい条件でしたが、経営体質の地道な改善という正攻法に加え、がむしゃらに経営に向き合い、社員一丸となって半年で単月黒字化することができました。その後も一筋縄ではいかない険しい道を乗り越えて、年間売上を社長就任時から約100倍に成長させることができました。

ビジネスモデルもそのためのインフラも確立されていない黎明期の映像事業に、挑んだのはなぜですか?

板東 これはいろいろな場で聞かれることですが、私にはブロードバンドの拡大により映像サービスは必ず世の中に普及するはずだという直感がありました。しかし、映像事業に乗り出すと決断したとき、周囲にはそのリスクを主張する人も多く、成功する確率は半々かもしれないという不安はありました。それでも参入したのは、「ピンときたら、あれこれ理屈を考える前に走り出してみること――ハートで感じたら走り出せ!」が信条だからとしか答えようがないのです。
特に、当社が手掛けるコンシューマー向けのIT分野は、技術の進歩や人々の関心の移り変わりが早く、手をこまねいていては、あっという間に競合他社に先行されてしまい、その競合他社が成功する頃には、参入する余地は残されていません。
誰よりも早く動いた者だけが、次の市場の勝者となるチャンスを得られるのです。

映像ビジネスにいち早く取り組み、成功させることができた最大の理由は何だと考えますか?

板東 経営危機を乗り越えて順調に会員を伸ばしていたISP事業から、映像事業へのシフトがなかったら、当社は再び、崖っぷちに立たされていたと思います。振り返ってみると、この判断も含めていろいろな場面でスピードを重視し、これだと思ったらまずは挑戦してみるという姿勢がやはり功を奏したと考えています。
私は事あるごとに、「スピードが重要だ」、「チャレンジ精神を忘れるな」、「初めてのことに挑戦することにこだわれ」と社員に話しています。
「ハートで感じたら走り出せ!」――これは私の信条ですが、当社のもっとも重要な価値観でもあり、また企業カルチャーの根幹にもなっています。

最後に一言、メッセージをお願いいたします。

板東 「ひかりTV」はこれまで映像サービスを軸に発展してきました。オリジナルコンテンツの企画・制作をはじめ、お客様が映像をより楽しめるよう、努力し続けていくことは言うまでもありませんが、この先は映像だけにこだわるつもりはありません。
これまでの歴史をたどると、電話はもともと通話だけでしたが、携帯電話、スマートフォンへと進化し、最近ではアプリをダウンロードし、ゲームや音楽を楽しむ情報機器にまで発展しました。
テレビも同じように映像を視聴する機器から、現在では「スマートTV」へと進化しつつあり、ショッピングやゲーム、音楽を楽しめるようにもなりました。
300万以上の会員を擁する「ひかりTV」では、スマートTVとしてのサービスをより充実させ、マルチデバイス対応を中心とした利便性のさらなる向上、コンテンツの充実により、このビジネスの可能性を追求したいと考えています。また、2014年10月に開始した日本初の4K商用サービスについても積極的に展開し、国内の映像サービスをリードしていきたいと思います。
これからも、ITサービスを通して人々を驚かせ、魅了し、やがて生活に欠かすことができない便利さや楽しさを叶えるサービスを、世の中に提供し続けていきたいと思います。

ありがとうございました。

板東浩二(ばんどう・こうじ)

株式会社NTTぷらら 代表取締役社長。株式会社アイキャスト 代表取締役社長。
1977年、日本電信電話公社(現NTT)に入社。NTTでは電話交換機の設計・導入・保守ならびにネットワークの構築に従事。九州支社 ISDN推進室長、マルチメディアビジネス開発部 担当部長などを歴任し、1998年6月に現職就任。