インタビュー一覧

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著者インタビュー


『鋼の水 ウォータージェット工法のパイオニア、50年の歩み』

日進機工株式会社 代表取締役社長 林伸一 氏

新刊紹介

水の力で鉄を切る――。
「ウォータージェット工法」と呼ばれるこの技術は、超高圧水を噴射することで対象物の洗浄はもちろん、コンクリートや巨大タンクを粉砕・切断することさえできる新時代の「工具」である。欧米で誕生し、日本に輸入されたこの技術を、国内で進化・発展させたのは、産業メンテナンスの専門医、そして日本におけるウォータージェット工法のパイオニアでもある日進機工株式会社だ。日進機工は1975年の創業以来、ウォータージェットの技術を利用し、阪神大震災後の橋脚・トンネル補修工事から東日本大震災の除染処理まで、あらゆるシーンで人々の生活を支えてきた。そんな同社の50年の歴史と実績、そして日本におけるウォータージェット工法の歩みを記した書籍『鋼の水』が発行された。著者である日進機工株式会社 代表取締役社長 林伸一社長に出版の経緯とその舞台裏について伺った。


まずは、出版に至った経緯について教えてください。

林伸一氏(以下、林) 日進機工は2015年2月、創立50周年を迎えました。洗浄機器メーカーとして創業し、その後、さまざまな方々の助けを借りながら、ここまで事業を拡大させてくることができました。50周年というこの節目の年に、ウォータージェットと共に進化、発展を続けてきた当社の半世紀の歩みを一冊の書籍にまとめたいと考え、出版に至った次第です。

ウォータージェット工法について簡単に教えてください。

 「原理としては水鉄砲に近い」というとイメージしやすいでしょうか。ただしその威力は凄まじく、ピンヒールを履いた像がステップを踏んで歩いてきた時に地面にかかる圧力とほぼ同等だといわれています。ウォータージェットは超高圧水だけで利用することもあれば、砕いた原石などを混ぜて吹きつけることで威力を強める場合もあります。
超高圧水を利用したウォータージェットは、もともと産業用の洗浄機器として発達し産業用機械にこびりついた固い付着物を除去する目的で利用されてきましたが、やがてウォータージェットと周辺機器の進化によって「超高圧水」が噴射できるようになると、固いものを「切る」「削る」「砕く」という技術にもウォータージェットが利用されるようになりました。

阪神大震災後の復興支援事業が一つの契機になったと伺っています。

 工具としての能力を注目されはじめた頃、ちょうど阪神大震災が起こりました。横倒しになった高速道路の橋げたをニュースなどでご覧になったことのある方も多いのではないでしょうか。この反省を生かして橋脚の増強工事が急がれましたが、橋脚をコンクリートで補強するためには既存のコンクリート表面を剥がし、その後で新たなコンクリートを打設する必要があったのです。当初考えられていた工法では大量の粉塵が上がってしまうことが懸念され、そこで超高圧ウォータージェットが導入されることになったのです。度重なる試験の末にその強度が実証され、模索していた超高圧ウォータージェットの使い道が新たに示されることとなりました。

ウォータージェットは他にどのような場所、どのような施工で利用されているのですか。

 先ほどご紹介した高速道路等の橋脚補強工事や、トンネルの天井版剥落防止工事、コンビナートでのガスタンク切断、市街地の除染処理等、ウォータージェット工法はさまざまな場面で皆様の生活を支えています。鋼のように鋭い水は、他の工法に比べて加工がしやすく切断面が滑らかで、遠隔操作も可能で、産業廃棄物が少ないという利点も併せもっています。

これからの100年に向けた想いがあれば教えてください。

 これからも私たちはプラントメンテナンスの専門医・プラントドクターであり続けたち願っています。それと同時に、日本におけるウォータージェットのリーディングカンパニーであり続けたいという願いも変わることはありません。そして50年間で培ってきたウォータージェット以外のさまざまな事業――車両販売装置やパンウォール、ピタコラム事業――も躍進させていきたいと考えています。

最後に一言、メッセージをお願いいたします。

 誇張も偽りもない当社とウォータージェットの歴史と今をお伝えする書籍となりました。鋼鉄をも砕く、知られざる「鋼の水」の物語。是非一度手にとってご覧いただき、私たちが取り組んできた事業とウォータージェットが社会にいかに貢献してきたかを知っていただければ幸いです。

ありがとうございました。

林伸一(はやし・しんいち)

日進機工株式会社・代表取締役社長。
1961(昭和36)年、愛知県生まれ。
1985(昭和60)年、一橋大学社会学部卒。1990(平成2)年、日進機工入社。
1996(平成8)年取締役、2002(平成14)年常務、2004(平成16)年専務を経て、2011(平成23)年、代表取締役社長に就任。
公益社団法人日本洗浄技能開発協会副理事長。