インタビュー一覧

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著者インタビュー


『風を起こす社員の鍛え方 「諦めない勇気、やりきる信念」を育てる』

メディキット株式会社 代表取締役会長 中島弘明 氏

新刊紹介

「開発することができたらノーベル賞ものだ」――。とある医師の何気ない一言から始まった、世界初への挑戦。
1973年に設立されたメディキット株式会社が、苦心の末に開発させた世界初のフッ素系樹脂による一体成型カテーテル『ハッピーキャス』。諦めない勇気とやりきる信念を人生の哲学とする同社創業者・中島弘明氏に、「風を起こす社員」の鍛え方について話を伺った。


まずは、出版に至った経緯について教えてください。

中島弘明氏(以下、中島) 私は自分自身に何の才能もなく、極めて平凡な人物だと思っています。世間や人様に誇れるようなものなど何もありません。
それでもこうして出版に踏み切ったのは、私が創業したメディキットの現社長である栗田社長を始め、多くの社員の皆さんから、私の行動の原点となっている哲学や考え方について、本にまとめてほしいという申し出があったからに他なりません。
分不相応であるとお断りしましたが、現社長や社員の熱意、それに出版の企画をしていただいた岡田晴彦編集長の後押しもあり、本書をしたためる決意をしたのです。

中島会長の行動の原点とは何でしょうか。

中島 私の行動の原点、それは「諦めず、最後までやり遂げる」というこの一言につきます。
「いろいろやってきたが、私は一度も失敗したことがない」これは松下幸之助氏の言葉ですが、私はこの言葉を聞いて、初めは反発にも似た気持ちをもちました。人間が何一つ失敗せずに生きられるわけがないと思ったからです。しかしこの言葉にはまだ続きがあり、「何度失敗しても成功するまでやり続けたから失敗がないのです」と松下氏は締めくくりました。その時私は「なるほど!」と強く感心したことを今でも鮮明に覚えています。
この言葉が今も私の「諦めない」という強い信念に繋がっているのです。

その「諦めない信念」の結果、誕生したのが世界初の一体型留置針。

中島 その通りです。苦心の末、メディキットを創業してから3年経った頃に、世界初のテフロンによる一体型留置針『ハッピーキャス』を完成させることができました。
しかしこの製品の完成は決して私一人で成し遂げたことではありません。私を支援してくれる多くの人がいたからこそ、作りあげることができたのです。
特に妻には大変感謝しています。日中は営業で外に出続け、夜は自室を改造してつくった研究室にこもる私を献身的に支えてくれました。破産寸前にまで追い詰められたときも、妻の貯金で、開発費を捻出することができたのです。

自らの足で営業に回り、現場の声を取り入れることで、不可能と言われていた製品の開発を成し遂げることができたのですね。

中島 私は実際に経験することがいちばんのトレーニングだと考えています。
今の若手社員は優秀だが、諦めが早いと聞きます。営業部門の人間にもかかわらず、アポイントを1件も取らないで会社へ戻ることがあると聞いて大変驚きました。
そして、それを指導する立場にある上司も指導することができない。なぜならば、経験がないからです。人と同じような営業や同僚と同じ件数を訪問していては決して結果は出ません。他人が10件訪問したならば、20件訪問する。そうして2倍は努力しなければ、少なくとも結果が出るはずもありません。

会長ご自身の営業経験についてお聞かせください。

中島 私がメディキットで営業をしていた頃は、手術室から医師が出てくるのを待ち構え、「先生、今から3分間ください」とお願いをしていました。そしていただいた3分で次回の約束を取り付け、アポイントを取っていたのです。もちろん断られてしまうことだって何度もありました。しかしそこで諦めずに何度も医局へ顔を出す。すると、さまざまな医師や看護師が私の顔を覚えてくれます。そうなれば何気ない会話の中からきっかけをつかむことができるのです。私はそのようにしていました。

やはり「諦めない」ということが重要なのですね。 本書のタイトルにもなっている「風を起こす」という言葉にはどのような意味があるのでしょうか。

中島 「風を起こす」とはそこにいるだけで風穴をあけられる特殊な人材という意味ではありません。愚直に努力し、行動し続ければ、嫌でも周囲の目に留まり、たくさんの人の手助けを借りることができます。そういう人が、最終的には周囲を巻き込んで大きな風をつくることができる。それこそが、「風を起こす」という意味なのです。

「風を起こす」人材はどのようにして育てるのでしょうか。

中島 もちろん、一人ひとりの努力が必須になります。しかし、自分自身の成長を自ら気付くことは難しいでしょう。そこで重要になるのが経営者や上司の存在です。上に立つ人間が適切な目標を示し、その過程をアドバイスし、成長しているという実感をもたせることが必要です。これにより、人はまた努力を続けることができるし、そうして育った人材が「風を起こす」人材となるのです。

最後に一言、メッセージをお願いいたします。

中島 私はメディキットを業界一の高給を出す会社にしたいと考えています。企業の発展のためには優秀な人材の確保が必要不可欠です。そして、優秀な人にはそれに見合った報酬が必要です。だから給料を上げ、やる気や自信を身に付け、成長していってほしいのです。
さらに私は、従業員一人ひとりに100万円のボーナスを出したいとも思っていますが、これはまだ実現できていません。これを達成するためには社員一人ひとりに力を最大限発揮してもらわなければならないでしょう。厳しいことを言いますが、それが社員のためになるのです。私はそのための環境づくり、従業員の育成に注力したいと思います。
社員の教育に悩み、本書を手に取ってくださった方々にこうした考えが伝われば、筆者としてこれ以上の幸せはありません。

ありがとうございました。

中島弘明(なかじま・ひろあき)

メディキット株式会社 代表取締役会長。
1935(昭和10)年宮崎県日向市生まれ。
中央大学経済学部卒業。証券会社、医療機器メーカーを経て1973(昭和48)年メディキット株式会社を設立。
代表取締役社長を経て、2010(平成22)年より会長就任。
2015(平成27)年6月にスカイネットアジア航空株式会社 取締役に就任。


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