インタビュー一覧

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著者インタビュー


『消化管(おなか)は泣いています』

内藤裕二氏

新刊紹介

『主治医が見つかる診療所』、『NHKワールド』など多数の出演経験をもつ、今をときめく消化管の専門医・内藤裕二医師。京都府立医科大学で最先端の研究を行なう傍ら、臨床の場で30年間、累計約5万人のお腹を診察してきた。現役の医師であり研究者でもある著者が、最先端の研究結果に基づいた、本当に役に立つ腸内フローラの活性化方法を指南する。著者である内藤氏に、本書の見どころについてお話を伺った。


――出版の経緯について教えてください。

内藤裕二准教授(以下、内藤)医師としての30年間で、これまで約5万人の消化管(おなか)を診察してきました。
消化管とは、口から肛門に至る管状の臓器です。食べ物は消化管の中を運ばれ、消化、吸収され、残ったものは便となって排出されます。消化管がない生き物はいないといわれているくらい、生物にとって欠かせない器官です。医療の世界では一般に、「おなか」というとこの口から肛門にいたるまでの「消化管」のことを指しますが、多くの読者の方にはイメージがしづらいだろうと思い、本書では「おなか」とルビをふることにしました。
消化管は手足のように自由に動かすことができないため、その存在を意識することはあまりないと思いますが、実際、消化管のがんによって命を落とされる患者さん、また消化管から始まる体調不良に悩んでいる方はたくさんいらっしゃるのです。
ライフスタイルや食生活が不規則になりやすい現代において、日本人の消化管の状態は決して良いとはいえません。こうした現状をご紹介し、消化管の病気や原因について、どのように立ち向かっていけばいいのか。医師として最新の情報を伝えたいと感じ、このたびの出版へと至りました。

――便秘薬を連用した大腸と健康な大腸との比較写真(帯・本文内)は衝撃的でした。

内藤 このように真っ黒になってしまった大腸を「大腸黒皮症」といいます。概算ではありますが、これまでの臨床の中で大腸黒皮症の方は、全体の5%くらいでしょうか。現在、10人に1人が便秘に悩んでいるといいますから、誰もが予備軍になる可能性があるといえます。特に若い女性は、便秘を病気だとは思っていない方が多くいらっしゃいます。市販の便秘薬を飲むと排便が見られたので、連用を続けた結果、ついには便秘薬が効かなくなり、病院を受診した際には大腸が真っ黒になっていた――というケースは少なくありません。
このような色素の変化は体に毒性があるわけではありませんが、薬を中止しても改善しなかったり、また腸管の蠕動運動が障害されていることも多いため、なかなか治療が難しいのが現実です。

――こうした症状に対して、腸内フローラはどのような役割を果たしてくれるのでしょうか。

内藤 腸内フローラの「フローラ」とは、花畑という意味があります。一定のグループをつくりながらたくさんの花が咲いている姿になぞらえて、腸の内部に生息する細菌グループのことを腸内フローラと呼ぶようになりました。腸内フローラは有用菌、有害菌、日和見菌の3つのグループで形成されています。これらの腸内細菌が多様性をもち、バランスのとれた状態であることが理想的な腸内フローラです。
腸内フローラを良い状態に保ち、腸が本来もっている力を最大限発揮することで、便秘や下痢などの不調を防ぎ、消化管(おなか)の健康が実現することができます。

――では、腸内フローラを常に良い状態に保つためにはどうすればよいのでしょうか。

内藤 食生活の見直しが第一です。具体的には、食物繊維や発酵食品を積極的に普段の食事の中で取り入れることが大切です。
食物繊維は有害菌の増殖を抑えてくれるだけでなく、有用菌のエサとしての機能ももっていますし、発酵食品には有用菌を増やし、腸内環境を変化させる効果が期待されています。これらを意識的に摂取することが、消化管(おなか)を良好な状態に保ち、ひいては全身の健康へと繋がっていきます。

最後に一言、メッセージをお願いいたします。

内藤 欧米化した食生活や、多忙なライフスタイルによって、現代人の腸には、大きな負担がかかっています。糖尿病やアレルギーなど、現在問題になっている病気の原因として、腸内フローラの乱れがあることも少なくありません。
腸内フローラのこのような乱れを解消し、消化管(おなか)の健康を取り戻すことは、実は比較的簡単です。本書では、明日から実践可能なさまざまな施策を医師の視点からご紹介しています。消化管(おなか)を健康にするための良い習慣を身につけ、全身の健康、健康長寿に繋げてほしいと思います。本書が読者の皆さんのライフスタイルを見直す良い機会になれば、望外の喜びです。

ありがとうございました。

内藤裕二(ないとう・ゆうじ)

京都府出身。京都府立医科大学卒業。医学博士。京都府立医科大学医学研究科 消化器内科学教室准教授。京都府立医科大学付属病院内視鏡・超音波診療部 部長。専門は、消化器病学、消化器内視鏡学、消化管学、酸化ストレスと消化管炎症、生活習慣病。著書に、『プロテオミクスでみえてくる消化器疾患の新展開』(診断と治療社、2009年)『酸化ストレスの医学 改訂第2版 』(診断と治療社、2014年、共著)『活性酸素の本当の姿 』(ナップ、2014年、共著)などがある。


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