インタビュー一覧

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著者インタビュー


『アシストバルールの競争戦略』

松原靖雄氏

新刊紹介

成城石井やikari、KOHYOなどの人気高品質スーパーに並べられ、発売からわずか2年足らずで年間350万本以上を売り上げる大ヒット商品、『バジルシードドリンク』。ブームの仕掛け人は株式会社アシストバルールだ。代表取締役であり、創業者でもある松原靖雄氏が一代で築き上げた同社は、設立から20年以上を経た現在も、従業員数20人未満ながら年間20億円近くの売上高を叩き出す超少数精鋭主義を貫く。大企業にはできない零細企業だからこそできる市場戦略、またヒットを生み出す法則とはいかなるものなのか。
著者である松原氏に本書の見どころについて伺った。


――まずは出版の経緯について教えてください。

松原靖雄氏(以下、松原氏) 1994年にアシストバルールを創業して以来、お客様に喜んでいただける商品を売ることを考えて、走り続けてきました。2012年に運命の商品、『バジルシードドリンク』に出会ってからは、ありがたいことに、たくさんの方が新しく当社商品のファンになってくださっています。
『バジルシードドリンク』をはじめ、当社がどのような思いをもって商品開発を行なっているのか、また当社の求めている高品質とは、どのようなものなのか、主力商品である『バジルシードドリンク』をご存知の方はもちろん、まだご存知ない方に対しても、知っていただきたい。そして、アシストバルールの前身である、「総合食品卸マツバラ」を起業してから25年という節目を迎えた今、これまでの歩みを改めて振り返ることで、従業員に対しても当社のめざす方向について改めて共有したいと考え、出版へと至りました。

――貴社の創業のきっかけについて教えてください。

松原氏 アシストバルールは私が1994年に創業した会社です。
大学を卒業し、新卒で入社したのは中堅の商社でした。その会社で営業の楽しさを知り、「自分の思い通りの商売をしたい」と思って27歳のときに大阪府高槻市の実家で立ち上げたのが、現在のアシストバルールの前身となる『総合食品卸マツバラ』です。
電話一本とFAX一台、たった一人で独立開業をした個人商店でしたが、今後の事業展開なども鑑みて結婚を期に株式会社化しました。結婚式では、「いつかは商売の中心地、大阪の本町に食品商社ビルを建てます」と宣言したことを覚えています。当時を考えてみると夢物語のような話でしたが、そのときは大真面目に「会社を大きくする」という野心を抱いていました。

――結婚式で宣言された新社屋は、その後の貴社の事業展開に非常に大きな役割を果たしましたね。

松原氏 やや衝動買いの感もあったこの新社屋ですが、もし本社がここでなかったとしたら、『バジルシードドリンク』が当社の看板商品として、市場に流通することもなかったかもしれません。
この社屋は、京都大学の大学院に通っていたときの友人が紹介してくれたものですが、輸入商社にとっては理想的な立地にあるといっても過言ではないでしょう。貿易関係の見本市などもよく開かれているマイドームおおさかをはじめ、日本と取引のあるほぼすべての貿易相手国の領事館が徒歩圏内にあるため、海外のメーカーや業者が、展示会などの帰りに気軽に立ち寄ることができるのです。良い商品を見つけ出すことをミッションとする我われ商社にとって、情報を得やすい場所にいることは、何よりも価値の高いことなのです。

――大ヒット商品『バジルシードドリンク」との出合いもこちらの社屋がきっかけでした。

松原氏 『バジルシードドリンク」と出合ったのは2012年のことでした。タイの飲料メーカーがサンプル品として当社に持ち込んだことが出合いのきっかけです。
初めて見た『バジルシードドリンク』は、どぎついピンク色の液体の中に、カエルの卵状のものがまるで標本のように詰まっており、不気味な代物、というのが正直な感想でした。しかし、そこは変わり者の私、この個性的なビジュアルが、決して嫌いではなく、むしろ大好物ともいえるほど、この商品にひきつけられたのです。
今から振り返ってみると、この社屋だけではなく、さまざまな縁や出会いをなくしては『バジルシードドリンク』がこうして市場に並び、当社を代表する商品にまで成長することはなかったように思います。
社屋が大阪の郊外にあったままでは、そもそもタイの飲料メーカーの訪問はなかったかもしれません。そして京都大学大学院に行かなければ、現在の本社ビルを紹介してくれた友人とも出会うことはなかったでしょう。新卒で入社した会社で教えてもらった仕事の楽しさ、起業を支援してくれた人たち、京都大学で知り合った友人、現在の社屋、そして『バジルシードドリンク』を紹介してくれたタイの飲料メーカー。これらすべてが、『バジルシードドリンク』のヒットや現在の当社をつくってくれたのだと、設立25年を迎えて実感しています。

――そうしたさまざまな出会いの中で、大学の教壇にも立たれています。

松原氏 京都大学の大学院に通った縁で、現在、大学で『中小企業論』の授業を開講しています。
数十年にわたって中小企業を経営してきた者として、教科書にも経験だけにも偏らない経営学を、学生たちに伝えたいと思っています。
大学での講義内容に関連させてお話しすると、『バジルシードドリンク』は、まさに当社の成長と深くかかわっていると改めて思います。
どういうことかというと、『バジルシードドリンク』は、現在年間5億円もの売上を誇る大ヒット商品ですが、これは従業員が何百、何千人といる大企業にとって、利益率が高いとはいえません。また、類似商品の販売を考える後発企業にとっても、数年の販売実績をもつ先行商品がある市場に割って入るほどの額ではありません。大企業や後発企業には手の出しにくい、この絶妙で小さな市場を最初に開拓することが、当社のようなサイズの企業が安定して利益を上げていくためには必要なのです。

――最後に一言、メッセージをお願いいたします。

松原氏 当社では、先例のないことはチャンス! と考えています。その最大の理由として、その分野のパイオニアになりたいというロマンがあるのです。それは資本力の小さな会社が独自の生存圏を見いだす、強かな経営戦略でもあります。
これからもアシストバルールは壮大かつユニークな発想で、新たなスタンダードを創り出す、オンリーワン、ナンバーワン企業を目指していきたいと思っています。

ありがとうございました。

松原靖雄(まつばら・やすお)

株式会社アシストバルール 代表取締役
1989年、関西大学を卒業。新卒で勤めた企業で食品部門の営業となり、トップの営業成績を収める。1992年、若干28歳にして独立し、総合食品卸マツバラを創業。1人で経営する個人商店でありながら、2年目にして売上7億円を達成する。1994年、事業拡大を見据え、株式会社アシストバルール設立。京都大学経営管理大学院修了後、現在、芦屋大学特任教授として会社経営に関する教鞭をとっている。著者が設立した同社は、京大ベンチャーファンドNVCC第一号投資案件に選ばれ、『バジルシードドリンク』、『イベリコ豚COREN缶詰シリーズ』など、独自の商品を販売し、好業績を上げている。


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