インタビュー一覧

全85件中 1〜 30件を表示

著者インタビュー


『ターンアラウンド』

大日方 真氏

新刊紹介

資本金の30倍の不良債権を抱えても、たった1人で闘い続けた経営者がいた。バブル崩壊により22億の不良債権を抱え、さらに売上高はピーク時から6割超激減。著者である株式会社ユニックスホールディングス 大日方 真社長は、窮地に立たされるも、負債に1人で向き合い続け、二十数年をかけ不良債権を完済した。そんな時代の荒波と闘った経営者の凋落と再興のドラマが描かれた一冊『ターンアラウンド』が発売された。本書の見どころと出版の経緯について、話を伺った。


――まずは出版の経緯について教えてください。

大日方氏 日本クラウドは前身の日本コンピュータ創立から2016年12月で、創立45周年を迎えます。日本のコンピュータ黎明期に、IBMの大型コンピュータのリース会社として創業し、その後、バブル崩壊によって多額の不良債権を抱えながらも、さまざまな方々の助けを借りながら、ホールディングスカンパニーにまですることができました。この節目の年に私の約半世紀の歩みを一冊の書籍にまとめたいと考え、出版に至った次第です。

――22億の不良債権を抱え、さらに売上高はピーク時1991年の約30億円から5年後には6割超激減ということですが、その当時はどんなお気持ちだったのでしょうか?

大日方氏 当時、資金が回収できなくなった取引先を確認したら、全部で30社ほどになっていました。リースしていた先がどんどん倒産する中、ただ茫然と事態を見ているしかありませんでしたね。コンピュータリース業に、もう未来はないと思いました。

――そんな状況をどうやって乗り越えたのですか?

大日方氏 バブルの崩壊で日本経済が混迷して、中小企業だけでなく、大企業も人員削減や経費節減を余儀なくされていました。さらに、情報技術(IT)の活用によって業務を効率的に運営することも、喫緊の課題でした。そのためにあらゆる企業が優秀なIT技術者を求めていたことは確かです。それに、情報処理担当者の技術レベルの向上も求められていました。コンピュータそのものよりも、それをどう使いこなすかという情報処理教育や、それを活かしていかに業務の効率化を図るか、というソフトウエアへとニーズが移行していたわけです。そこで、コンピュータ教育事業とソフトウエア支援事業で新たな展開をしていくことで、徐々に利益を確保でき、何とか乗り切ることができました。

――完済するまでの間、いちばん大切にしてきたことは何ですか?

大日方氏 とにかく社員や取引先に不安感を与えないこと。それに尽きます。社員の働く意欲を削いではいけません。それに、金融機関にはこの会社は大丈夫だと思ってもらわなければならない。ですから、どんなに追い詰められても、社長の私としては、平然として、常に笑顔を絶やしませんでした。資金繰りや銀行との交渉などで大変なときほど、「できないことはできないんだから、できることだけは一生懸命やろう」と自分に言い聞かせながら、前に向かって進んでいました。

――新人研修の一環で、面白い事業をされていますね。

大日方氏 たとえ組織の中に入っても、技術者はお客さまに信頼されなければいけません。常に個人の力が問われるのです。その力を養ってもらうために、研修期間中、台東区限定で新人に区内の店舗や町工場を回り、「パソコンなどで、お役に立てることはありませんか」と聞いてもらっています。ご年配の方も多いので、皆さん快く話を聞いてくださいます。何度かお邪魔するうちに親密な関係が生まれて、お客さま自身の商売について、相談を受けることもあるでしょう。台東区は職人の町ですから、オリジナル商品や社会に提供できる技術やサービスを何かしらもっているものです。その店舗や工場の様子について五感をフル活用して観察し、どんな商品を売っているか、何の製品を作っているか、その魅力を効果的にPRする方法はないかなど、考えなければなりません。それを踏まえて、お役に立てる提案を考える。そうして、自分で考える力を身に付けていってほしいんです。

――最後に一言、メッセージをお願いいたします。

大日方氏 これからIT技術者をめざす若者たちへ。グーグルもアマゾンも個人が起業した企業です。アメリカのソフトウエアの世界は、大きな会社も小さな会社も皆独立していて、それぞれが得意とする世界をもってビジネスをしています。一方、日本のソフトウエア企業は、自らのアイデアで商品やサービスを開発して提供するというビジネスには至っていません。でも、これからは中国や韓国、東南アジアも力をつけてきます。そうした国と競合して勝ち残っていくためには、自立してビジネスを行なう力をつけることが大切です。一人でできなければ仲間を募ればいい。「こんな商品があったらいいな」と思ったら、作ることができる。ソフトウエアの世界は無限の可能性を秘めています。日本の技術者も、自分の作りたいものを見いだし、どんどん世間に問うていってほしいですね。私はその土壌づくりで若者たちを支えていきたいと思っています。

ありがとうございました。

著者プロフィール
大日方 真
1961年、東京大学卒業後、日本IBM入社。その後、1967年、日本ソフトウエアに入社。1971年には日本コンピュータ(現・日本クラウド)を設立、代表取締役に就任。『コンピュータの基礎知識』、『オンライン・システムの基礎知識』、『データ・ベース設計の手引』ほか著書訳書多数。総務庁、財団法人地方自治情報センターなどの講師、一般社団法人日本能率協会専任講師を歴任。1988年に日中合弁上海啓明軟件有限公司の総経理に就任。2016年6月現在、ユニックスホールディングス、インテリジェントシステムズ、日本クラウドの代表取締役を務める。


この内容で送信します。よろしいですか?