インタビュー一覧

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著者インタビュー


『人生を変える賢い腸のつくり方』

内藤裕二 氏

新刊紹介

臨床の場で30年間、内視鏡検査で累計5万人のお腹を診てきた消化管の専門医・内藤裕二医師。現役の医師であり京都府立医科大学で最先端の研究を行なう学者でもある著者が、腸内フローラの活性化術について語った書籍、待望の2冊目を上梓した。
前作『消化管(おなか)は泣いています』の出版から2ヵ月あまり、よりわかりやすく、より簡単に実践することができる腸内フローラの活性化術を紹介した本書の見どころについて、著者である内藤医師にお話を伺った。


――『消化管(おなか)は泣いています』に続いて、腸内フローラをテーマとする2冊目の書籍となりました。

内藤裕二准教授(以下、内藤) おかげさまで、前作『消化管(おなか)は泣いています』は、さまざまな方から多数の反響をいただくことができました。
多忙のあまり、悪化の一途をたどる日本人の腸内環境ですが、改めて、一人でも多くの方にご自分やご家族の健康について改めて考える機会をもっていただきたいと強く感じています。
今回上梓した『人生を変える賢い腸のつくり方』は、このような思いのもとで執筆したものであり、『消化管(おなか)は泣いています』と基本的なコンセプトは変わっていません。
ただ、前作では書ききることのできなかった点、特に今日その高い性能で期待を集めている水溶性食物繊維の働きや初めて公開する最新研究の成果についてより詳細に扱っていることが『人生を変える賢い腸のつくり方』の大きな特徴です。

――書籍の中では、水溶性食物繊維がもつ驚きの効果が、さまざまな実験を通して紹介されています。

内藤 本書籍では、初めて公開する実験成果を多数掲載しています。
例えば、水溶性食物繊維が食品のGI値を低下させる効果があるという実験結果を紹介したのも今回が初めてです。
GI値(glycemic index)とは、炭水化物を含む食品を食べたときの、血糖値の上がりやすさを示した指標のことです。
高GI値の食品は食後血糖値が上昇しやすく、こうした食品を多く摂取することは「肥満」や「糖尿病」を引き起こすリスクが高まります。血糖値の急激な上昇を防ぐためには、低GI食品中心の食生活を心がけることがいちばんですが、日本人が日頃よく口にする食パンや白米、うどんなどはGI値が高く、実際のところ低GI食品ばかりを選んで食べることは難しいのが現実です。
そうしたときに力強い味方となるのが水溶性食物繊維です。普段の食事と併せて水溶性食物繊維を摂取することで、食品のGI値を低下させてくれることが最新の実験結果からわかりました。
このほかにも、本書では水溶性食物繊維がもつさまざまな効果を明らかにした研究成果を多数紹介しています。

――さまざまな効果をもたらす水溶性食物繊維ですが、必要量を摂取するのは難しいと聞きます。

内藤 厚生労働省が発表している成人一日あたりの食物繊維摂取量は、18~69歳の男性が20g、同じく18~69歳の女性では18gとなっています。ところが、実際の平均摂取量は1日14g程度ですから、男女ともに大きく不足していることになります。さらに、海外のデータと比べても、日本人の食物繊維摂取量は不足していることがわかっています。
食物繊維には水溶性と不溶性の二種類があり、そのうち腸内フローラのエサとなるのは水溶性食物繊維です。つまり、特に意識してこちらの積極的な摂取をめざしたいわけです。
しかし実際のところ、不溶性に比べて水溶性の食物繊維を摂取することは難しいという特徴があるのです。

――では、水溶性食物繊維を積極的に摂取するためにはどのようにすればよいのでしょうか。

内藤 かつて、日本人は食物繊維が豊富に含まれた食生活を送っていました。ところが、この日本ならではの食生活は、第二次世界大戦を境に様変わりしたのです。
国民健康・栄養調査を見ると、戦後から現在に至るまで日本人の総エネルギー摂取量はほとんど変化していないことがわかります。にもかかわらず、総脂質摂取量と動物性脂質摂取量が大きく増加しています。つまり、総エネルギー摂取量に対して脂質の占める割合が増大しているのです。
欧米化した食生活によって不足した食物繊維を補うために、何か一品を追加して食物繊維の不足分を補うことは現実的ではありません。日頃よく食べている食品の栄養バランスを再確認すると同時に、食物繊維の豊富な食品を数品追加したり、あるいは食品を入れ替えたりしながら、「食卓の総合力」で水溶性食物繊維目標量の達成をめざすのがコツといえるでしょう。

――最後に一言、メッセージをお願いいたします。

内藤 私たち日本人の食物繊維摂取量は大幅に減少しており、1947年には平均して一日27.4gであった摂取量が、2014年では14.2gと、戦後70年の間にほぼ半減しています。
食物繊維の摂取量が減少することのデメリットは、身体面だけに留まりません。摂取量が減ることでセロトニンやドーパミンといった「幸せホルモン」の分泌が減少し、うつ病やキレる子どもの増加に繫がっていることも指摘されています。食物繊維の摂取量の低下はカラダの病気だけでなく、心の病までも引き起こす可能性が高いのです。
本書では、水溶性食物繊維を豊富に含む食材を紹介していますので、そちらも参考にしてみてください。また、介護の現場における水溶性食物繊維導入の応用事例もいくつか掲載しています。便秘など腸のお悩みをおもちの方がご家族など身近にいらっしゃる場合には、こちらも役に立つのではないかと思います。
水溶性食物繊維を十分に摂って腸を元気にし、心身の健康を手に入れることに本書が役に立てば幸いです。

ありがとうございました。

内藤裕二(ないとう・ゆうじ)

京都府出身。京都府立医科大学卒業。医学博士。京都府立医科大学医学研究科 消化器内科学教室准教授。京都府立医科大学付属病院内視鏡・超音波診療部 部長。専門は、消化器病学、消化器内視鏡学、消化管学、酸化ストレスと消化管炎症、生活習慣病。著書に、『消化管(おなか)は泣いています』(ダイヤモンド社、2016年)『プロテオミクスでみえてくる消化器疾患の新展開』(診断と治療社、2009年)『酸化ストレスの医学 改訂第2版 』(診断と治療社、2014年、共著)『活性酸素の本当の姿 』(ナップ、2014年、共著)などがある。


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