インタビュー一覧

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著者インタビュー


『和衷協同』

島田四郎 著

新刊紹介

設立10年で10%以下ともいわれる企業生存率。その激しい生存競争の中で、建物管理のプロとして約60年の歩みを続けるセイビ。
しかし、その道のりは安穏としたものではなく、売上高が大幅に下がってからのこの10年で、サービス内容や組織体制を大きく変更し、事業はより専門化した形で分社化するなど、セイビは劇的な変化を遂げてきた。
現・代表取締役会長の大改革に迫りながら、一方で会長が決して手放そうとしなかったセイビの伝統、セイビ創業の精神を、その60年の歴史とともに振り返る。
さらに、「伝統の堅持と時代の流れを見据えた革新」を体現してきたセイビの今と未来にも言及した『和衷協同 ― 人と建物の調和が、ビルに新たな価値を宿す ― 』が発刊された。
本書の見どころと出版の経緯について、著者である株式会社セイビ 代表取締役会長 島田四郎氏に話を伺った。


――まずは、出版に至った経緯について教えてください。

島田四郎会長(以下、島田) 現在、私が会長を務める株式会社セイビ(以下、当社)は、2016年で創業58年目を迎えることができました。これほど厳しい経営環境の中で、曲がりなりにも半世紀以上にわたって存続することができたのは、ひとえに従業員のおかげです。施設管理業というのは、地味で目立たない縁の下の力持ち的な仕事です。それでも当社の誇りである従業員が胸を張り、自分たちの仕事にプライドをもって、日々の業務に邁進してもらうため、そして、私たちが日々、どのように業務に取り組み、どのようにリスク管理や安全対策を実践しているかを、お客様に知っていただきたいと思い、本書の出版に至りました。

――5代目社長に就任されたとき、最盛期の年商の約3分の2まで落ち込んでいたとか。

島田 2006年に社長に就任した際、私がまず取り組んだのは、「とにかく売上を伸ばす」ことでした。社員のモチベーションを上げるためにも、まずは目に見える形で示したかったのです。
そのために、「営業開発部」という専門部署を立ち上げ、自ら営業本部長として、新規開拓や事業範囲の拡大に取り組みました。ビルの清掃・設備管理・警備だけでなく、ホテルの施設管理事業やマンション管理事業など、それぞれ専門領域の異なるグループ会社を分社化し、サービスのクオリティを維持しながら、販売管理費、とくに人件費の抑制に努めながら進めていきました。
社長就任から10年間、数字だけを見れば右肩上がりのように見えますが、この「難しい時代に、皆よくぞ頑張って数字を伸ばしてきてくれたものだ」と、自然に頭の下がる思いがいたします。

――約60年ともなると、サービス等の内容もかなり様変わりしているのでは?

島田 セイビは「総合ビルメンテナンス業」です。その中で、セイビの原点にしてコアとなる、「清掃業務」を取ってみても、この約60年で相当変わってきました。出発当初はアメリカ式のビル清掃、つまり、タイルの床洗浄用に開発されたポリッシャーなどを使った洗浄、バキュームなどで汚水回収、モップで水拭き、業務用扇風機で乾燥、ワックスがけでした。それが今では、こちらも、技術が進んで少人数でできる水拭きまで1台で行なえる全自動床洗浄機が主流です。もちろん、タイルのほかに、さらに手間のかかるカーペットなどもありましたが、現在では少人数で効率的に作業ができる機械が出てきています。
ですから、いつまでも同じ場所に留まっていたら、たちまち後続集団に追い越されてしまいます。少なくとも独立系の清掃会社としてトップランナーであり続けたいと、どんなに苦しいときでも絶えず一歩ずつ前進していくことを心がけています。

――組織改編や分社化も含め、地方拠点でも、それぞれの地方で特色のある事業をされていますね。

島田 お客様に対して、より専門性の高いサービスを提供すること、また、事業によってそれぞれ法律や監督官庁が異なる場合もあるため、それに対応していくことができるように、組織改編・分社化を積極的に進めてまいりました。
地方拠点でもお国柄など、それぞれの地域特性に合わせて、例えば、セイビ札幌は「病院関係」、横浜支店は「銀行関係」、「商業施設」、セイビ埼玉は「地方自治体」、セイビ大阪、セイビ九州は「ホテル」に強いなど、さまざまです。それぞれの得意分野を今後、セイビグループ全体の事業に活かしていければと考えております。

――有名企業のお客様も多くいらっしゃいますね?

島田 そういう企業のお客様ほど、当社に要求されるレベルも高く、我われも日々勉強していかなければついていけません。そのために、お客様に提出する提案書には、当社の教育システムや人事システムの整備状況、コストの裏づけとなるスタッフの職階ごとの賃金設定などの細かいデータを揃えています。大変なところもありますが、それ以上に、お客様には非常に得難い機会を与えていただいているのだと考えています。お客様によってここまで育てていただいたのだというご恩を片時も忘れたことはありません。

――熊本地震のときは、グループ全体でさまざまな支援をされたとか。

島田 地震発生後すぐにグループ各社から義援金を募り、関口社長が自ら現地へ届けました。もちろん被災されて床が水浸しになってしまったお客様の施設には、セイビ九州から乾かすための業務用の大型扇風機などの機材を送ったりしました。しかし、その後も余震や台風など、記録的な豪雨にも見舞われ、土砂災害が発生するなど、被災者の方々を取り巻く環境は苛酷なものになっています。グループとして、引き続き被災地の復興支援のために微力を尽くしてまいります。

――最後に一言、メッセージをお願いいたします。

島田 この本を読んでいただいた方には、ぜひ、各地のオフィス、ホテル、病院、マンション、学校で、黙々と働いている当社のスタッフの仕事ぶりに目をとめていただけたら幸いです。彼らはきっといい仕事をしてくれているはずです。そんな現場を少しでも知っていただけたら、これほどうれしいことはありませんし、私たちも励みにもなります。
当社の社是、「和衷協同」とは、「心を同じくしてともに力を合わせること」です。スタッフを大切にすることは、とりもなおさず人を大切にすることであり、お客様を大切にするということと等しいと考えております。
60年目を新たなスタートラインとし、社員一人一人が切り拓き、セイビグループは次の60年をめざして、さらなる挑戦を続けてまいります。

ありがとうございました。

島田 四郎(しまだ・しろう)

株式会社セイビ 代表取締役会長。
1947(昭和22)年生まれ。学習院大学卒業後、大手不動産会社に就職。1975(昭和50)年、株式会社セイビに入社し、常務取締役企画部長などを務めたのち、2005(平成17)年、代表取締役社長に就任。2016(平成28)年から現職。


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