インタビュー一覧

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著者インタビュー


『京都大学の経営学講義 いま日本を代表する経営者が考えていること』

川北英隆・奥野一成 編著

京都大学に「もぐり」の学生が殺到する人気授業がある。講義名は、『企業価値創造と評価』。2014年に経済学部で始まった講義だ。本講義の最大の特色は、毎年日本を代表する企業の経営者が登壇し、学生向けにその経営哲学、経営戦略について自由に述べてもらう点だ。
積水ハウス、ホシザキ、大和ハウス工業、シスメックス、カルビー……。今回、実際に登壇した5人のトップ経営者の講義を完全収録した書籍『京都大学の経営学講義 いま日本を代表する経営者が考えていること』が発売された。
本講義の主催者であり本書の編著者である川北英隆氏、奥野一成氏にお話を伺った。


――まず、本講義を主催するに至った経緯と目的を教えてください。

奥野 欧米の大学院(MBA)で教える学問(ファイナンス、マーケティング、マネジメント、起業など)は実務に密着しているように感じています。教える側も実業界での経験が豊富な教授、講師が担当し、経営者も大学によくやって来て講義をします。
一方日本では、文系学部における産学連携は進んでいません。自然科学ほど客観的な解がないとはいえ、社会科学の分野も理論と現実の両面からアプローチする必要があると考えていました。
そんな中、同じく文系学部における「産学連携」についての問題意識をもつ川北教授と知り合い、講義の実現に至りました。

――教育者、研究者の立場から見た本講義のメリットは何でしょうか。

川北 教育者の立場では学生に経営者の生の顔と姿を見せ、生の話を聞かせること、時には質問できる機会をつくることができます。学生は経営者にいろんなタイプがあるとわかると同時に、優れた経営者には共通項があると気付くはずです。
また、研究者の立場として、トップ経営者から直接話を聞くことで、企業の相互比較やグルーピングに関する企業分析が比較的容易にできるようになりました。

――特に反響の大きかった講義はどの方の講義でしょうか。

川北・奥野 例えば、登壇者の一人で本書にも収録されているカルビー会長の松本晃氏の講義では、経営戦略の柱として徹底した「権限委譲」をあげています。「なぜなら権限を与えられると人は元気になり、成長するからだ」と松本氏は語っており、その他にもミーティングの廃止、オフィス革命、ダイバーシティ委員会の設置など、常識にとらわれないその経営戦略は多くの京大生を魅了しました。

――最後に読者へのメッセージをお願いいたします。

川北・奥野 アメリカでは各大学が独自性を発揮した教育を行ない、有為な人材を輩出していますが、京都大学の講義においても将来の素晴らしい経営者と運用者を育む触媒になることを信じています。また、本書は二〇一六(平成二八)年度前期にご登壇いただいた経営者の講義をできるだけ忠実に再現したものなので、純粋に講義録としても楽しんでいただけると思います。

ありがとうございました。

川北英隆(かわきた・ひでたか)

京都大学名誉教授 投資研究教育ユニット代表・客員教授
財政制度等審議会委員、日本価値創造ERM学会理事、日本ファイナンス学会理事、みずほ証券取締役(社外)、日本取引所自主規制法人理事(外部)など。
京都大学経済学部卒業、博士(経済学)。日本生命保険相互会社(資金証券部長、取締役財務企画部長など)、中央大学教授、同志社大学教授、京都大学経営管理研究部教授を経て、現在に至る。
著書として、『株式・債券投資の実証的分析』(中央経済社、2008)、『証券化―新たな使命とリスクの検証』(金融財政事情研究会、2012)、『「市場」ではなく「企業」を買う株式投資』(金融財政事情研究会、2013)、『京都企業が世界を変える―企業価値創造と株式投資』(金融財政事情研究会、2015)他。


奥野一成(おくの・かずしげ)

農林中金バリューインベストメンツ 常務取締役(CIO)
京都大学法学部卒業、ロンドンビジネススクール、ファイナンス学修士(Master in Finance)修了。公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員。
1992年日本長期信用銀行入行、事業法人融資、長銀証券・UBS証券にて債券トレーディング業務(東京・ロンドン)に従事。2003年に農林中央金庫へ転籍しオルタナティブ投資を担当した後、2007年より現在の原形となる「長期集中投資自己運用ファンド」を開始。2009年、農中信託銀行にプロジェクトを移管し、年金基金等外部投資家向けファンドの運用助言業務に従事(2012年より同行企業投資部長兼CIO)。2014年、より投資業務に特化した体制構築を企図し設立された農林中金バリューインベストメンツに移籍し、現在に至る。


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