インタビュー一覧

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著者インタビュー


『愛の安住地 龍馬と佐那と名刀吉行』

北村精男 著

 坂本龍馬の没後150年、龍馬の生涯に触れる書籍は数多く出版されてきた。開国にむけて尽力する姿は多くの日本人の生き方や考え方の指標となったことだろう。しかし、坂本龍馬の生き様ばかりが注目され、坂本龍馬が愛した女性のことが語られることは少ない。
 本書は坂本龍馬が上京し、剣術の腕を磨いた道場で恋に落ちた女性「佐那」と龍馬の愛の軌跡を追う歴史小説である。
 龍馬が佐那に誓った約束は、二人の没後に数奇な運命によって果たされることとなる。この愛と奇跡の物語は坂本龍馬ファンのみならず、多くの人の心を打つだろう。
 著者は、1913年の釧路の大火で坂本家が焼け落ちた際に同じく失われたと考えられていた名刀【陸奥守吉行】を所有していた北村氏。
 今回は、出版の経緯や本書の見どころについて、お話を伺った。


――本書の鍵となる「陸奥守吉行」と「北辰一刀流長刀兵法目録」ですが、本物なのでしょうか。

北村氏(以下、北村)はい、本物です。もともと巷では偽物だと囁かれていたこともあり、私がオーナーである北村興産が龍馬の遺品を引き受ける際に、坂本龍馬を愛する有識者に鑑定をお願いすることにしました。そして、2015年10月に京都国立博物館の鑑定によって、目録が本物だと証明され、同年12月には刀も陸奥守吉行であることの確認が取れました。龍馬についてそれほどの知識も持っていなかった私がこうした霊験あらたかな刀剣と巻物に関わることとなり、龍馬と佐那の結びつきに惹かれていきました。そして調べ上げたことをまとめあげたのが本書となります。

――それでは、本書はノンフィクションであるということでしょうか。

北村 いえ、それは違います。本書は龍馬と佐那の『愛と魂』について語るものであり、多分にファンタジーな要素を含みます。また、必ずしも歴史的事実を検証しつくしたわけではありません。さらに正直に申し上げますと、私は文章を書くことを得意としていません。しかし、龍馬の足跡を追い、自分の考えを添えて書き綴るうちに龍馬と佐那が「そうだ、その通りだ」と認めてくれているような気がしました。ですから、彼らの魂が「土佐の高知」という『愛の安住地』にたどり着いたことを、私は信じて疑いません。

――『愛の安住地』というタイトルについてお聞かせください。

北村 二人が約束した土佐の地への旅路は150年の時間と、約1万8000kmの道のりを経て完了しました。龍馬と佐那の魂は龍馬の後継者である坂本直衛やアメリカのサンフランシスコ・ジャンク市の古物商店主、龍馬にあこがれる竹中清水氏などの手を巡って「土佐の高知」にたどり着くこととなります。文化や技術の進んだアメリカの地を二人で踏むこと、そして自然豊かで人情味のある土佐の地に二人で行くことを誓ったものの、龍馬が暗殺されたことで二人の恋は悲恋となるはずでした。
 しかし、先に挙げた人々の手によって二人の魂はアメリカへ行き、土佐へと帰還します。長い長い旅路の果てに、二人の魂が寄り添うように見えた私は、「土佐の高知」は龍馬と佐那の「愛の安住地」だと思えたのです。

――最後に、本書の見どころについて教えてください。

北村 やはり龍馬と佐那の魂が刀と巻物に移り、約束の地へと旅立つところではないかと思います。刀と巻物がこうして高知県に現存していることは奇跡的な、あるいは運命的なことでしょう。本来であれば大火に巻き込まれ焼け落ちたか、あるいはいまだにアメリカの誰とも知らぬ人の倉庫で眠っていたかもしれません。刀と巻物の今があるのも、その価値を十分以上に理解し、大切にしてきた人々の功績です。そして、それを実現させたのが龍馬と佐那の愛の力だと私は考えるのです。
 本書に興味をもっていただけた方は、多かれ少なかれ龍馬に興味をお持ちの方だと存じますが、龍馬に興味をもっていない方にもぜひ手に取っていただきたいです。もし読んでいただければ、私と同じように二人の愛に引き寄せられるように龍馬のことが大好きになるでしょうから。

ありがとうございました。

北村精男(きたむら・あきお)

高知県香南市赤岡町生まれ。高校卒業後、高知市の建設機械レンタルと機械施工会社に8年勤める。1967(昭和42)年に株式会社技研製作所の前身となる高知技研コンサルタントを創業。社会問題となっていた建設公害を解決すべく圧入原理に着想し、1975(昭和50)年に無公害杭打ち機「サイレントパイラー」(圧入機)を発明。社是は『仕事に銘を打て』。全国圧入協会(JPA)、国際圧入学会(IPA)を創設し、一般社団法人高知県発明協会会長や一般社団法人高知県工業会会長などの公職を歴任。2002(平成14)年に紫綬褒章、2011(平成23)年には旭日小綬章(発明功労)を受章。創造広場「アクトランド」オーナー。