インタビュー一覧

全100件中 1〜 30件を表示

著者インタビュー


『観光DMO設計・運営のポイント』

日本政策投資銀行 地域企画部[著]

 国、地方自治体をあげて地方創生・観光立国が叫ばれる中で、各地域ではそれぞれの方法で観光振興策が講じられている。東京オリンピックの開催を前にした日本では、インバウンドの領域にも大きな波が押し寄せている。「観光」という切り口から地域振興に貢献できる潜在力は極めて高く、今後、多くの果実をもたらしていくことであろう。
 観光を巡る国内外の動向、海外諸国と日本のDMOそれぞれの特徴と傾向を概観し、その新しい組織体の設計・運営のポイントを説き明かす『観光DMO設計・運営のポイント』が発売された。
 著者は、各地の金融機関や地元企業と連携・協働し、中立的な立場から課題解決のためのノウハウやリスクマネーを提供・仲介することにより、経済の持続的な成長に不可欠な地域の自立・活性化に取り組んでいる日本政策投資銀行の地域企画部。今回の出版の経緯や本書の見どころについてお話を伺った。


──まずは出版に至った経緯について教えてください。

日本政策投資銀行 地域企画部 地方創生・地域活性化の最重要テーマの一つとしての観光振興、そしてそのドライバーとしてDMOに注目が集まっています。国もDMOの立ち上げについて手厚い支援策を講じています。当行とグループシンクタンクである日本経済研究所は、日本においてDMOという概念を立ち上げる初期の段階から研究に取り組んでおり、DMOの設立や運営に関するご相談も多くいただいております。
 その経験を踏まえて分かったのですが、現在、日本でDMOに携わっている方々の多くが、同じような悩みを抱えており、その解決方法が解らず困惑されています。また、DMOに関して誤った理解をされていたり、DMOありきで考え始めてしまって、より大きな目標である地方創生・地域活性化という観点を見落としてしまっているケースもあります。
 演繹的に「べき論」としてのDMOを解説するのではなく、DMOの設立・運営についての詳細なポイントを、地域の実際のプロジェクトより帰納的にまとめて直してみて、DMOや地域観光に携わる方々に対して、地域観光の重要なノウハウを体系的に紹介してみようと思ったのです。

──日本版DMOとは、どのようなものでしょう。

日本政策投資銀行 地域企画部 内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局、国土交通省観光庁「『日本版DMO』形成・確立に係る手引き(第2版)」によれば、「日本版DMOは、地域の『稼ぐ力』を引き出し、地域への誇りと愛着を醸成する『観光地経営』の視点に立った観光地域づくりのための戦略を策定するとともに、それを実施するための調整機能を備えた法人」とされています。
 実際のDMOの設立・運営においては、それぞれの地域実情に応じて柔軟に機能を定義していく必要があります。つまり、DMOの設立と運営とは、地域自らが自身の地域を理解して、将来に目指す姿を議論して、それに向けた戦略に基づいてDMOを設計していくということです。従って、それに向けた各検討要素や選択肢それぞれのメリットとデメリットを理解して、一つずつ地域自らが選択していく積み上げが重要となります。
 そして、それに向けた要素の分解と解説が、本書で目指したものです。また、このために本書では日本版DMOに拘らず、DMO設計の参考となる事例を幅広く分析の対象としています。

──貴著の概要を教えてください。

日本政策投資銀行 地域企画部 本書では、まず観光を巡る国内外の動向、海外諸国と日本のDMOそれぞれの特徴と傾向を概観します。これを踏まえて、日本の地方創生と地域活性化において求められるDMOという新しい組織体の設計・運営のポイントを説き明かしていきます。
 13地域の事例をまとめた第4章では、各地の先進的な取り組みを印象的な写真を交えて紹介しています。特に、出版社に無理を言って、写真等は全てカラーにしていただきました。結果、各事例が有する独創性や先進性が、より臨場感を持って伝わり、日本のDMOの方向性を見通す示唆をより的確に理解いただけると思います。

──最後に一言、メッセージをお願いいたします。

日本政策投資銀行 地域企画部 DMOの成功は、「官民連携の推進」、「独自デザインによる最適化」、「ネットワーク・ハブとシナジーの追求」、の3つのポイントを積み上げていった結果として地域にもたらされます。これは、家を建てるのに似ています。つまり、地面とその下にしっかりとした基礎を造り、まずは1階を建て、さらにその1階を土台として2階を造る。そして最後に、屋根である“DMOの成功”を載せるというものです。各地域が、それぞれの実情に応じた、長く住むことができる家を建て、“DMOの成功”という棟上げを達成されることを期待しています。

――ありがとうございました。

日本政策投資銀行 地域企画部

地域課題解決や地域活性化・地域創生へ向けて、国や地方公共団体、民間事業者、地域金融機関等と連携・協働しつつ、交流人口の増加、地域資源の有効活用、官民連携(PPP/PFI)といった切り口から、各種調査・情報発信・提言やプロジェクト・メイキング支援などに幅広く取り組んでいる。