インタビュー一覧

全100件中 1〜 30件を表示

著者インタビュー


『AI時代に輝く経営の教科書』

吉村慎吾 著

AI、IoT、ビッグデータ、ロボットをフル活用した第四次産業革命が始まっている。この変革の中では、もう従来のビジネスの成功セオリーが通用しない。それでだけではなく、働く人も変革しつつある。有史以来人類が抱え続けた「飢餓」の危機感から解放されたhuman2.0の出現がそうである。お金や出世に関心の薄いhuman2.0を企業はどのように活用すればよいのだろうか。また、AIやロボットが人間の仕事を奪う現在のビジネス社会、勝ち残るためにはどうすればいいのか。AI時代を迎えた経営者へ送る、human2.0の特性を活かしたイノベーションとその成功方程式がつまった『AI時代に輝く経営の教科書』が発売された。
著者は、論理優先とは一線を画す実効性の高いコンサルティングにより数百社の変革を支援してきた、イノベーション創出支援コンサルティングファーム、株式会社ワークハピネス社長の吉村氏。今回は、出版の経緯や本書の見どころについて、お話を伺った。


――書籍出版の経緯についてお聞かせください。

吉村氏(以下、吉村) あと数年でAIによる自動運転が現実となります。AIとロボットによって、私たちの生活環境は激変することでしょう。つまり、経営のパラダイムも大転換する時がきているということです。経営者の仕事は大別すれば新しいものを生み出すイノベーションと、安定的に生産しサービスを提供するオペレーションの二つしかありません。今後、オペレーションに関してはAIやロボットの独壇場になり、これからはイノベーションだけが経営者の仕事になるでしょう。これは「AIとの戦い」の問題です。また、それ以上に悩ましいのが「採用のジレンマ」の問題でしょう。現在、企業は人手不足により、将来AIやロボットに取って代わられるしかない人材を採用するために、多大なコストと時間を消費しなければならない状況にあります。そうした現代に、「AIとの戦い」と「採用のジレンマ」を乗り越える誠実な経営の助けになればという思いから、今回出版を決意しました。

――AI時代に期待される経営者像とはどのようなものだと思いますか。

吉村 未来が見通せない時代、経営者が責任感を持ってミッションやビジョンを示すことはマイナスでしょう。アメリカに「レンタカーを洗う人はいない!」というモチベーションに関する格言がありますが、経営者が責任感を出してミッションやビジョンを示せば示すほど、社員は安心して依存して仕事がレンタカーになってしまいます。そのような組織がAI時代に生き残れるとは考えにくいですね。経営者が「俺もわからない。一緒に未来を考えてくれ!」と無責任に社員に依存すれば、社員は自分ごととして組織のために頭を使い始めるでしょう。「経営者が従業員に依存する」。これこそ今新たに求められる経営者像だと思います。

――働く人の変革とはどのようなことでしょうか。

吉村 人類は誕生以来、飢餓との戦いというパラダイムの中で生きてきました。飢餓から逃れるために競い合って生き延びてきた子孫が私たちです。戦争を知る親に育てられ、勤勉に働いて「いかに穏やかな老後を迎えるか」が人生最大のテーマでした。しかし今の若者はどうでしょうか。戦争を知らない親に育てられた若者の脳裏に「飢餓」という単語のリアリティはありません。それだけではなく、若者は音楽、動画、ゲームといったエンタメを無料で楽しめる手段を持っています。若者はそれほどお金を使わずに、人生を楽しむ術を知っているのです。彼らの人生のテーマは「いかに自分らしく楽しく生きるか」というところにあると考えています。現代の先進国の若者は人類史上初めて、脳の片隅にも飢餓のイメージを持っていない世代なのです。本書では彼らを「human2.0」と名づけています。一方で、人類誕生以来の飢餓サバイバルが刷り込まれている私たちhuman1.0世代は、この新たな世代が、生産および消費の主体となる未来にどのように対処するべきでしょうか。これも本書の大きなテーマとなっています。

――最後に一言、メッセージをお願いいたします。

吉村 イノベーションとは、「人の喜びを増やしたい!」、「悲しみを減らしたい!」という個人の「願望」から生み出されるものです。「願望」を抱く力は、肉体を持たないAIにはなく、感動で体が震える人間だけに与えられた特権です。ところが、多くの企業の従業員は人間なのに「願望」がなく、「指示待ち族」で言われたことをただ粛々とこなすオペレーターが多数派という現状です。おまけに彼らは時折ミスをする。これではミスのないAIやロボットに早晩職を奪われることは避けられないでしょう。今から経営者がすべきことは「願望」を持ったイノベーター社員を育てることです。「願望」を持ったイノベーター社員が増えるほど、AIやロボットは脅威ではなく、「願望」を実現するためのチャンスとなるのです。本書を手に取ってくれた人が想像もできないようなイノベーションを起こしてくれることを期待しています。

ありがとうございました。

吉村慎吾(よしむら・しんご)

株式会社ワークハピネス 代表取締役社長
早稲田大学政治経済学部卒
世界4大監査法人の一つであるプライスウォーターハウスクーパースにて公認会計士として活躍し、世界最年少マネジャー記録を更新、世界初の日米同時株式公開を手掛ける。途中、日本証券業協会店頭登録審査部(現・JASDAQ上場審査部)上場審査官として多くの企業の上場審査も行なう。1999年12月、企業変革支援アウトソーサーである株式会社エスプールを設立。100年の伝統ある老舗ホテルの20年続いた連続赤字を1年でV字回復、水耕栽培農業を活用した障がい者雇用支援サービスの立ち上げなど、数々のイノベーションを起こし、2006年2月に株式上場へと導く。同年4月、イノベーション創出支援コンサルティングファームである株式会社ワークハピネスを設立。論理優先とは一線を画す実効性の高いコンサルティングにより数百社の変革を支援。著書『イノベーターズ 革新的価値創造者たち』(ダイヤモンド社・2014年)は、日本経済新聞ビジネス書ランキング1位、日本図書館協会選定図書に選ばれ、多数の企業で「次世代幹部育成の課題図書」として扱われている。