――登場する教授の皆さんはどなたも負けず劣らずインパクトの強い方ばかりですが、どこまでがフィクションでどこからが事実なのでしょうか?
小室 主人公の3人こそ架空の人物ですが、彼らが出会う教授の方々やその研究内容などはすべて事実です。物語仕立てにするにあたって、主人公たちばかりが目立ってしまうのではないかと気を揉んでいたのですが、まったく無用の心配でしたね(笑)。出会う方、出会う方、主人公たちをくってしまうくらいの“濃い”キャラと熱い心意気をもった教授ばかり。大学紹介とは関係なく、読み物としても楽しく読んでいただけると思います。
――大学がこういったフィクションを織り交ぜた若者向けの本を出版するというのは、あまり聞かないですよね。
小室 大学の出版会から学術出版をされる、もしくは教授個人がご自分の研究内容をもとに新書や教養書などを出版されるということはよくありますが、学校法人が発起人として一般向けの書籍を出版するというのは珍しいことだと思います。
――前例がない中で今回の書籍を企画した意図というのはなんですか?
小室 たまたま理科系の教授にお会いする機会があったのですが、その時にうかがった研究のお話がとても面白くて……。私は文系人間なので、それまで理工系大学についての知識や興味はほとんどなかったのですが、「これはきっと面白いのに知られていない研究がまだまだあるぞ!ぜひ知りたいし、世の中にも知らせたい!」と思いました。工学院大学には面白い研究をされている教授や、その分野の権威と呼ばれる教授がたくさんいらっしゃいます。これをわかりやすく楽しく紹介したい、と思って今回の企画を立てました。
――この書籍はどのような人に読んでいただきたいですか?
小室 まずは、大学への進学を希望している理系高校生の皆さんですね。今回は工学院大学の教授しか紹介していませんが、例えば同じ「工学部建築学科」でも研究内容は本当にさまざまあります。大学名や偏差値だけでなんとなく受験先を選ぶのではなく、「本当にやりたい研究がある大学を選ぶ」時の参考にしていただけたら嬉しいです。
それから、理系大学出身のみなさんにも読んでいただきたいです。かつて自分が勉強していた分野の「今」と「最先端」を簡単に知ることができますので、きっと楽しんでいただけると思います。
そして最後に、私と同じ文系ビジネスマンの皆さん。この本には、タイトルの通り「コーキシン」を刺激される研究がたくさん詰まっています。ぜひ、本書を手にとってコーキシンの扉を開いてみてください。