――「就活志塾」はどのような思いから開講されたのですか。
西田氏(以下、西田) 「このままではだめだと思うんだけど、何をどうしていいのかわからない」。私のもとを訪ねる、職業観や人生観に悩める学生たちがよく口にする言葉です。そのたびに私は「頭を使え」と激励します。人生を豊かに生きるためには頭を駆使して感度を上げ、自力で道を見つけるしかないのですが、それをわかっていない若者が多いと感じました。そこで、生き方を学び、生きるための志を学ぶための塾、「就活志塾」を開講したのです。
――本書出版の目的を教えてください。
西田 私が就活志塾で伝えてきた教えを、若者はもちろん、人生に悩めるすべての人に届けたいと考え、」本書の出版を決めました。これまで様々な形で伝えてきた、就職活動や人生設計、人間力の醸成に関する話をひとつの流れにまとめ、人生の再スタートのきっかけとなる1冊になっています。
――逆境を追い風に、人生をプラスへ転じる秘訣についてお聞かせください。
西田 最も重要となる考え方は「全体最適思考」、「未来志向」、「逆算思考」の3つの観点です。ものごとの全体像を捉え、今置かれている状況を正確に読み取って判断や行動に移すのです。このとき、未来において完成されるべき姿を、全体像として意識するのです。本来あるべき全体像をイメージすることで、今の自分が置かれた状況の中で欠けているものを埋めていけば、理想とする良い未来が完成するという考え方です。これは単純に時間を意識しタスク管理を行うようなものではなく、時間を横軸に、理想とする未来に繫がるビジョンや打ち立てた目標を縦軸に、立体化することが大切です。
――最後に読者へのメッセージをお願いいたします。
西田 私自身、70年余りの人生で大きな谷底を2度経験しましたが、谷底に陥るたびに徹底的に学びを繰り返し、人生をプラスの方向へ導いてきました。再スタートを切るのに遅すぎるということはありません。ぜひ本書を読んで、自分の生き方をつかみとる思考法を身に付けてください。
西田芳明(にしだ・よしあき)
1951年大阪府堺市生まれ。 1987 年 4 月に 2 代目進和建設工業株式会社 代表取締役に就任。高付加価値、低コストのマンションに代表される高収益事業を推進し経営を再建、無借金経営を続けている。
自身の経験を広く学生たちに伝えたいと考え、2009 年「就活志塾」を設立、これまで 4000 人以上の学生を中心とする若者たちに、自らの頭で自身の仕事と人生について考える場を提供、現在も年間 200 人以上の学生たちがその門を叩く。
著書に『 トップは志をつくりなさい 』 2014 年 現代書林)、 『 頭が勝手に働き出す思考法 』 2017 年 現代書林)、 『 家計簿経営 』 2018 年 プレジデント社)、『 社長の最後の仕事 100 年続く承継と継承 』 2021 年 現代書林)などがある。