――まずは、出版に至った経緯について教えてください。
宗澤岳史氏(以下、宗澤)「根性」、特に「根性論」という言葉を使うとき、そこには否定的なニュアンスがあり、多くの人々が根性のことを「まるで無駄な努力」、「非科学的な方法論」であるかのうように誤解しています。このような誤解によって日本から失われつつある「根性」を取り戻すため、本書執筆を決意しました。
――本書の中で、根性はどんな人でも発揮することができると言及されています。
宗澤 多くの研究結果が、人間の能力はすべて後天的に変化しうることを支持しています。例えば、かつて一万人に一人程度しかもたない特別な能力だと考えられてきた「絶対音感」でさえも、訓練することで後天的に身につけられることがわかっています。
ソシオテック研究所ではビジネスマンの「根性」についての研究に取り組んでいます。詳細は本書に譲りますが、私たちはその研究を通じて、適切な方法を用いることができれば「根性」はどんな人でも発揮することができるとの結論に至ったのです。
――根性の四要素についてお聞かせください。
宗澤 根性――、本書の中では新しい概念として「KONJO」という呼び方を使わせてもらっていますが、KONJOを構成する四つの要素は、価値、選択、集中、継続であると考えています。そこで、第1章では、KONJOの中心となる要素である「価値」について解説し、「価値の明確化」の方法を紹介しています。同様に、第2章では「選択」、第3章では「集中」、第4章では「継続」の各要素について、その解説とアプローチ方法を紹介しています。終章では、本書のまとめとしてKONJOを発揮することの意義について、主に「成長と成功」の観点から解説させていただきました。
――理解を助けるためのワークシートも本書の魅力となっています。
宗澤 アンケートに答えることによって、自らのKONJOの発揮度がわかる「KONJO診断」(簡易版)を掲載しました。その他にも、実際にご自身で書き込んでいただけるワークシートをいくつか入れさせていただいているので、是非参考になさってください。
――最後に、読者の方々にメッセージを御願いします。
宗澤 できる限り経験論や憶測ではなく、科学的根拠を明示しながら解説させていただいたつもりです。また読者が消化不良に陥らないように、具体的な方法論を詳しく記しました。そのため本書を読めば、どうすれば根性(KONJO)を発揮できるのかご理解いただけると思います。変化が激しく、先行きの見えない社会で生き残るためには、私たちは失われつつある「根性」を取り戻さなくてはならないと考えています。本書が少しでも皆様のお役に立てることを願っています。
ありがとうございました。
宗澤 岳史(むねざわ・たけし)
1978年生まれ。北海道出身。早稲田大学で博士号を取得(Ph.D)。複数の研究機関、大学にて研究員、教員として勤務。それと平行して病院や企業等でカウンセリング、コーチング、大企業を中心としたコンサルティング業務の実務経験を積み、現在、(株)ソシオテック研究所にて人材育成に関わる研究、商品開発、事業企画等に従事している。専門は、認知行動科学、臨床心理学、人間科学、心理統計学、メンタリティマネジメント。著書に『不眠の医療と心理援助』(金剛出版)など。臨床心理士。