――まず、本書出版の経緯を教えてください。
岡田晴彦(以下、岡田) 以前なら、生活者からは縁遠いところに存在していた金融機関の内部が、さまざまなメディアを通して身近になっています。私個人としても、2014年に新生PIグループの書籍の編集を手掛けさせていただいたことで、それまで縁遠く感じていた金融マンたちの思いに触れる機会に恵まれました。そうした中で2015年の春に出会った金融マンがジャパンネット銀行表取締役社長の小村充広氏です。お話を伺っていくにつれ、日本におけるFinTechの急先鋒であるジャパンネット銀行のリーダーが描いた夢、そして、現実を描きたいという思いを抱き、筆を執った次第です。
――ジャパンネット銀行はどういった会社でしょうか。
岡田 さくら銀行頭取であった岡田明重氏(当時)の発案で、2000年に設立された国内初のインターネット専業銀行です。「これまでにない、まったく新しいタイプの銀行をつくる」というコンセプトの下で立ち上がったこともあり、支店や通帳の廃止など業界の常識に次々と挑戦し、新しい時代の銀行のあり方を今日まで模索してきた会社です。
また、取材をしていく中で感じたのは仕事を心から好きな人たちが非常に多い会社だということでした。今まで、何百という会社を訪問しインタビューをしてきましたが、本当に仕事が好きな人たちの笑顔には噓がありません。そして、自分からは「仕事が好きだ」、「自分の仕事を誇りに思う」なんて言葉は決して口に出しません。顧客に全身で向き合い、今ある自分の責務に立ち向かう。そんな金融マンがたくさんいるのが、ジャパンネット銀行でした。
――本書の見どころを教えてください。
岡田 本書では、ジャパンネット銀行の今とその未来について、社長の小村氏をはじめ、同行の多くの役職員、さらに提携企業の役職員の皆さまにインタビュー取材を行ない、書かせていただきました。ジャパンネット銀行とその魅力の正体を見極めるために、必死に取材をさせてもらいました。読者諸兄が本書を読み進める中で、私が受けた感動をそのまま感じていただければ、最高の喜びです。
――執筆の際に意識されたことはありますか。
岡田 戦後初の銀行免許獲得をめざして金融庁に通い、ようやく創業を迎えることができた日やネット銀行の命綱であるサーバーがダウンし全社をあげて奔走した日、そして既に他社との提携が決定していたヤフーを社長である小村氏が口説き落とした日など、銀行員につきまとう怜悧なイメージとはかけ離れた、汗かく姿を余すことなく本書に込めることを意識して執筆しました。
――最後に一言、メッセージをお願いいたします。
岡田 本書を執筆するにあたり、ジャパンネット銀行の数多くの皆さまにご協力いただきました。そのご尽力にかなう読み物となったかどうかは、大きな不安が残るところではありますが、心から御礼を申し上げます。最後まで大変ありがとうございました。また、読者の方々には本書が描いた金融マンたちの苦闘を少しでも感じ取っていただけると幸いです。
ありがとうございました。
岡田晴彦(おかだ・はるひこ)
株式会社ダイヤモンド・ビジネス企画、取締役編集長。「ビジネスの現場にこそ社会と人間の真実がある」がモットー。著書に『絆の翼 チームだから強い、ANAのスゴさの秘密』、『テクノアメニティ』、『復活を使命にした経営者』、『ワンカップ大関は、なぜ、トップを走り続けることができるのか?』などがある。